この暴君、恋すると手に負えません
バリンッ!!
その時、ベランダの大きな窓ガラスがヘリの風圧で勢いよく割れ散ったのだ。
帝さんは私を包み込むように抱き締めてくれた。
あまりに突然すぎる自体に何が起こったのか私には分からなかった。
「……大丈夫か?虹美」
「……はい」
私は返事をするのがやっとだった。
きっと私の心臓がこんなにも速くなってしまったのは、帝さんに抱き締められているからではなく、突然激しく割れたガラスの音と間近で聞こえるヘリの音に驚いたからだ。
割れたガラスの破片が部屋中に飛び散っていた。
そしてヘリの音が遠のいていくと不審に思った帝さんがベランダで歩み寄る。
「誰だ!?」
そう、ベランダには人影が映っていたのだ。
その人物はコツコツと革靴の音を立てながら私たちの前へと姿を現した。