この暴君、恋すると手に負えません


「……久し振りだな、帝」


その男は帝さんのようにとても妖艶で高貴な雰囲気を纏っていた。
誰もを虜にしてしまいそうな流し目にふと目を奪われる。


ダークグレーのスーツに身を纏い、かきあげた前髪から覗く綺麗な顔立ちに息が止まりそうだった。


「……誉!?」


そう、私たちの目の前に現れたのは美しすぎる皇帝、朱鳳誉だった。



――あの人が誉、さん?


確かに誰が見ても帝さんと親子だと一目で分かるほど、引けを取らない美貌の持ち主だ。

いやでも誉さんって帝さんの父親だったはず。
見た目は35、6歳くらいにしか見えないけど、一体いくつなのこの人……!?


暫く帝さんと誉さんは互いを見つめあっていた。
先に口を開いたのは誉さんだった。



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