この暴君、恋すると手に負えません
「この部屋は明日リフォームする予定だったからな。ガラスを壊すくらい、問題ない」
「は?久々の息子との再会だっていうのに、ついにボケが始まってんのか?」
誉さんは余裕に満ちた表情を変えずに冷静に言い返した。
「副社長に任命してやったというのに、父親に対していつまでも生意気な口を利きやがって。まだ反抗期真っ盛りのお子様か」
「万年発情期でいろんな女に手出しまくって本妻に逃げられた男に言われたくねぇな」
「……ふっ、口が減らない奴だ。まぁいいだろう。それより……」
誉さんは帝さんの背後にいる私に気づき、じっと獲物を狩るかのような鋭い眼光で見つめた。
そのあまりの冷酷な眼差しに私は表情が強張ってしまう。
背筋に変な汗が流れるのを感じながら、私も恐る恐る視線を重ねた。