この暴君、恋すると手に負えません
「……お前が美作虹美か?」
――この人が桐生さん、光希さん、それに瑛斗を。
人を使って自分のシナリオ通りに動かせていた主犯格。
私はその高圧的な眼差しに負けじと睨みつけるような視線を返す。
「はい、私が美作虹美です」
「……なるほど。写真で見るより実物のがいいな。帝が惚れこむ理由も分からなくはない」
薄っすら浮かべる笑みすらも、何かを企んでいるように見える。
すると帝さんは誉さんの視線を絶つように私の前に腕を伸ばした。
「誉、俺の問いに答えろ」
「何だ?」
「どうして桐生たちを巻き込んでふざけたシナリオ通りに動かせて。何を企んでやがる?」
「……そんな事、わざわざ口にしなくても賢いお前なら分かってるだろ?」
誉さんは挑発するような口調で告げると帝さんに歩み寄った。