この暴君、恋すると手に負えません


そして帝さんがバスルームから出ると、タオルで頭を乾かしながら歩み寄る。

「今日は大人しく言うこと聞けたみたいだな?」

そういってまるで子どもを扱うように頭をよしよしと撫でられてしまう。
そのままベッドの中に潜り込んだ帝さんは私の上に跨った。

お風呂上りの火照った肌の温もりを感じつつ私は帝さんを見つめる。


「……虹美、安心して寝ていいからな?俺が絶対守ってやる」
「……でも、守るのは私の仕事ですから」
「お前は俺の婚約者(フィアンセ)になる女だ。だから、この俺に大人しく守られとけばいいんだよ。分かったか?」


だが、帝さんは私の返事を聞かずに強引にまた唇を奪っていった。
次第に深くなる甘い甘い口付けと、優しく抱き締めてくれる温もりに私は安心しながら眠りについた。


そしてこの時、皇帝朱鳳誉に翻弄される日々の始まりの幕が静かに上がったのだった――……。



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