この暴君、恋すると手に負えません
#9 皇帝のシナリオ
翌朝の食卓はとても食事をしている雰囲気とは思えないほどギスギスしていた。
互いに何も話さず黙々と朝食を食べていたが、食事を済ませた誉さんがコーヒーを飲みながら遂に口を開くのだった。
「......帝、今日はお前に会わせたい人がいる」
「聞いてないぞ」
「だから今言っただろ?」
「今日は午後から大事な会議がある。急な予定を入れられても困る」
「なら問題ない。この後、十時頃いらっしゃる予定だ。お前が知ってる人だからそんな気を張ることはないさ」
そして口元を拭いて誉さんは立ち上がると、扉越しで待機して立っている私に歩み寄った。