この暴君、恋すると手に負えません


ーー其処に映し出された人物は私の母だったからだ。


「......何で?」


部屋の隅でプロジェクターを操作していた瑛斗も、驚きが隠せなかったようで目を大きく見開いている。


「言っておくがこの女はお前の母親ではない。お前の母親の妹、橘結依(たちばなゆい)だ」


橘結依。私の叔母にあたる人だ。

とはいっても、母と彼女は年の差がある姉妹のため叔母さんとは呼びにくい。なので、結依姉ちゃんと呼ばされていた。


二十歳の若さで私を産んだ母だが、当時の結依姉ちゃんは中学生になったばかりだったから無理もない。


そして最後にあったのは両親が亡くなった時の葬儀で、それからはどこで何をしているか全く知らなかった。


ーーただ、目の前に映る大人になった彼女はあまりにも母に似過ぎていた。



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