この暴君、恋すると手に負えません
「......この人が、何か関係あるんですか?」
プロジェクターからもれる光を浴びている誉さんは、何かを企んでいるような笑みを浮かべている。
余裕に満ちた何を考えているか分からない誉さんを私は睨つけるように見つめた。
「......結依は帝が二十歳の時に専属で雇わせたボディーガードだ。帝は当時結依に相当惚れ込んでいたが、若さ故か女の扱いが下手で、ただ自分の気持ちを押し付けるだけの恋の暴君のようだった。どんなに想いを伝えても結依は全然靡かなかったんだ。そこで見兼ねた俺はその叶わぬ恋に終止符を打ってやったんだ」
「......終止符?」
その言葉に違和感を覚えた。
すると皇帝は不敵な笑みを浮かべながらとんでもない事実を言い放つ。
「結依を俺の女にしてやったんだよ。結依は俺の前ではいつも強がっていてな、好意を寄せてるのが丸わかりだったからその気にさせて落としてやったんだよ」
ーーこの人、最低だ。
人の心を弄んでることを楽しんでる。