この暴君、恋すると手に負えません
すると暴君は握った私の手の甲に口づけを落とした。その時ふと、手当してもらった絆創膏が視界に入ると私は黙り込んでしまう。
そして、暴君はあの妖艶な瞳で見つめた。
「虹美、お前は俺の求めていた女だ。悪いようにはしない、だから俺と契約しろ」
ーーこの時の私はどうかしていた。
この暴君に対して抱いていた怒りは自分の勘違いと知ると、もう逆らう事など絶対に出来ないと思ったからだ。
「......わかりました、契約します」
私はこの時は知らなかった。
自らこの暴君に仕えることでこれから自分がどうなっていくかをーー......。