この暴君、恋すると手に負えません
「ところで誉と何話してたんだ?」
「えっ、そ、それは……っ」
私は誉さんの部屋であった出来事を思い出すと、どう答えればいいのか言葉に悩んでしまう。そんな私を不思議そうに見つめながら帝さんは首を傾げていた。
私は拳をぎゅっと握り締め、真意を確かめようと、帝さんを真っ直ぐに見据えながら問い掛ける。
「……あの、帝さん」
何でだろう。
聞くのが怖い。
「何だ?」
ーーもし結依姉ちゃんと私を重ねていたとしたら?
今まで帝さんが伝えてくれた想いは全部私に向けられたものではなくなる気がして、そう考えると急に胸が締め付けられる。
ーーだけど信じたい。
あの甘い言葉も口づけも、全て私に向けられたものだと信じたい。