この暴君、恋すると手に負えません
「橘結依さんの事を聞きました」
彼女の名前を告げた瞬間、帝さんは目を丸くしたまま言葉を失ってしまう。
「……私が彼女に似てるからずっと重ねて見ていたんじゃないですか?」
"虹美、お前は俺が求めていた女だ"
ふと、契約を結ぶ時に帝さんが言った言葉を思い出すと目頭が熱くなるのを感じた。
帝さんは暫く黙り込んでいたが、意を決したのか眉間に深く皺を寄せたまま、重たい口を開く。