この暴君、恋すると手に負えません
だが、タイミング悪くも私たちのもとへ円華さんが歩み寄った。
「帝様、そろそろお客様が参りますのでお集まりください」
「……今行く。虹美、悪いが続きは後で必ず話す」
そして帝さんは一度も目を合わせず、先に歩き出してしまった。残された私を心配そうに円華さんは見つめながら呟く。
「昨日、光希様と車で移動してる途中、誉様のヘリが屋敷に向かってたから気になってたんだ。それに翌朝、お前の部屋にガラスの破片が散乱していたし、何があったんだ?」
「……それは」
私が答えにくそうに顔を俯かせていると、円華さんは私の肩をぽんと叩いた。
「無理には聞かない。ほら、お前も私と一緒に来るんだ」
「あ、はい」
ーーそしてこの時は既に、朱鳳誉のシナリオは着々と進んでいた。
私の悶々とした気持ちは晴れないまま、さらに追い討ちを掛けるような出来事にまたしても直面するのだったーー……。