この暴君、恋すると手に負えません
「なんだジョセフィーヌ、お前も虹美が気に入ったのか?」
「ワンワン!」
「......ジョセフィーヌ?」
あまりにもネーミングセンスの無さに私は思わず笑ってしまった。すると暴君は私の隣にしゃがみ込みながら、へぇと呟いた。
至近距離であの妖艶な瞳を向けられると、やはり魅入ってしまう。
「な、何ですか?」
「お前、笑うとかわいいな」
「別に、普通ですから……!!」
私は恥ずかしくなって顔を背けると、暴君は反応を楽しんでいるように悪戯な笑みを浮かべた。そしてそのまま私の腕を掴んで体を起こすと、とある部屋へと導くように歩き出した。