この暴君、恋すると手に負えません
「ここだ、入るぞ」
扉を開けると其処に一面に服が敷き詰められていて、その数は私の一生分の服があるのではないかと思うほど。靴や鞄、アクセサリーも豊富に兼ね備えており、まるでお姫様のクローゼットの中にいる気分だ。
暴君は中に入るなり、見立てたスーツを私の体に当てていた。
「お前、7号くらいか?」
「あ、はい」
「よし、じゃ脱げ」
ーーはい?
またこの暴君はとんでもない事を言い出した
「安心しろ、そこにフィッティングルームがある」
私は暴君にスーツを押し付けられると、安堵したように息を吐き出した。