この暴君、恋すると手に負えません
そして扉が閉まる頃には私は子どものように声を出して泣き崩れてしまったんだ。
もう二度と朱鳳家に戻る事はない。
もう二度と帝さんに会う事はない。
そう思うと涙は止まる事はなかった。
「……帝、さ……っ」
今さら求めるように名前を呼んでも、もう私を優しく抱き締めてくれる帝さんはいない。
ーーその現実を受け入れる事なんて、今の私には出来なかった。
「……帝さんっ、帝さ……んっ」
私は何度も何度も求めるように縋るような声で呼びかけた。
もう二度と届くことのない帝さんへの想いを募らせながら--……。