この暴君、恋すると手に負えません
今日は家に着いたらやろうと思っていた事があった。
それは年内におばあちゃんの部屋を整理するという事だ。実は家に帰ってからもどうしても勇気が踏み出せず部屋に入るのを躊躇していた。
私は一度深呼吸をしてから、ゆっくりおばあちゃんの部屋の扉を開けた。久々に入った室内には、まだおばあちゃんの香りが薄っすら残っている。
「……なんだ、綺麗じゃん」
潔癖症とまではいかないが、几帳面で綺麗好きだったおばあちゃんの部屋は私が片付ける必要がないほど整理されていた。
ふと棚の上に飾っている写真を見つけると、其処には小さい頃の私とおばあちゃんが映っていた。もう何十年前の写真だろうか、画質も古くて背景がぼやけて見える。