この暴君、恋すると手に負えません
そんな暴君、朱鳳帝(すおうみかど)との出会いも勿論最悪だった。
奴との最悪な出会いは半年前に遡る。
当時の私は朱鳳財閥の指揮のもと、とある高層ビルの工事現場で働く所謂ガテン系女子であった。
両親を幼い頃に亡くし祖母の家で二人で暮らしていた私は、高校を卒業してすぐ建設会社に就職した。
気づけばもう八年目の中堅社員だ。
男の人にまみれながらの過酷な労働って大変じゃないかとよく祖母は心配していたが、私には居心地が良かったのでさほど問題はない。
女性が私一人という事もあり、苦手な女同士の馴れ合いもなく、むしろ思った事をなんでも言い合える仲間たちばかりで何も気遣う必要もなかったからだ。