この暴君、恋すると手に負えません
「それともあれか?着替えないってことはそのまま俺のこと誘ってるって受け止めていいんだろうな? 」
「き、着替えます」
私は慌ててカーテンを閉めてスーツに身を纏うと、恐る恐るフィッティングルームから顔を出した。
「あの、着替えました」
「よし、靴も用意しといたからそれを履け」
足元に視線を落とすと、私のサイズに合わせた革靴が置かれていた。私は壁に掛けてある靴べらを慣れない手つきで使い、革靴を履いた。
私は体のラインが出やすいスリムタイプのパンツスーツに革靴といった、普段の自分とは一変した姿に落ち着かなかった。
「似合うじゃねぇか。それは俺からのプレゼントだ、有り難く受け取るんだな」
「......あの、伺ってもいいですか?」
「何だ?」
「どうして私なんですか?」
すると暴君はふっと不敵な笑みを浮かべて答える。
「言っただろ?お前は俺が求めていた女だからだ」
だから答えになってないってそれ。