この暴君、恋すると手に負えません
「……人生で一番最高の誕生日だ」
耳元で嬉しそうに囁く帝さんを私も強く抱き締め返した。
あぁ、この温もりが心地よい。
このまま本当に離れたくなくなる。
帝さんが三十歳になったこの瞬間に私は誓った。
「虹美、必ず幸せにしてやる。だから誓え、これからもずっと俺の傍から離れないって」
「……はい、誓います」
「じゃ誓いのキスでもしてもらおうか?」
そうしてまた私たちは愛おしい顔を見つめあう。
「それ、ただキスしたいだけですよね?」
「あぁ、そうだ。何か問題でも?」
そうやって私が反発しても余裕の笑みを浮かべて、何も言えなくさせてしまうところも今はもう好きなところのひとつだなんて--……。
認めたくないけど認めます。
帝さんが好きだから。
そして私たちは互いの想いを確かめ合うかのように、誓いのキスを交わしたのであった--……。