この暴君、恋すると手に負えません


そして玲奈さんはステージの中央に立つなり、深々と頭を下げてからマイクを口元に寄せる。
その表情は、とても挙式を控える幸せ絶頂な花嫁とは思えないほど険しい表情だった。


「皆様、朱鳳帝に代わりまして私から重要な知らせをお伝え致します」


記者たちはカメラはカメラや録音機等、興味津々に食い入るように玲奈さんに注目していた。
私も喉をごくりと鳴らしながら玲奈さんを見つめる。


すると玲奈さんは一切迷いもなく驚きの言葉を口にしたのだった。






「……皆様。私、神楽坂玲奈は朱鳳帝との婚約を取消することを発表致します」






あまりに突然すぎる知らせに驚きのあまりか会場が一瞬静まり返った。
だが次の瞬間、眩いフラッシュの数々と共に、記者たちの容赦ない質問が飛び交い始めたのだ。





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