この暴君、恋すると手に負えません
その瞬間、帝さんと視線が重なった。
「明日にでも指輪買いに行くか?」
「え?指輪?」
「結婚指輪。前にちゃんとしたのはめてやるって約束しただろ?」
私は左手に輝くレインボーローズの指輪を見つめ、右手で包み込みながら首を左右に振った。
「いらないです」
「まだ怒ってんのか?」
「違います」
「じゃ何でだよ?」
二人の出会いは奇跡。
レインボーローズに秘められた花言葉だ。
そんな二人を結ばれる瞬間を見守ってくれた指輪。
帝さんが初めて私に贈ってくれた大切な指輪。
私にはこれ以上のモノはいらない。