この暴君、恋すると手に負えません
--後日。
朱鳳帝の婚約騒動の一連は、批判殺到どころか世間から祝福の声が次々にあげられていた。
"愛の暴君、朱鳳帝。一般女性を連れ去り、永遠の愛を誓う"
とある記者が発表した記事が一気に話題になり、SNSでも"連れ去り婚されてみたい"という女子が急増しているようだ。
動画サイトでもニュースがアップされ、朱鳳帝の名を全世界に轟かせていた。
あの場で玲奈さんが実は男性だったとカミングアウトしたのは、『あの美貌を手に入れるまで』というエッセイ本を極秘で大手出版社と手を組んで販売しようとしていたからだそうだ。
あの騒動を利用して発表した事で、一気に話題になった玲奈さんの本は勿論、爆発的に売れたのは言うまでもない。二夜連続のドキュメンタリードラマにまでなり、映画化も決まったそうだ。
そしてずっと別居していた馨さんも朱鳳家の屋敷に戻ってきた。誉さんも以前の冷たい表情はなくなり、とても表情が柔らかくなった気がする。年が明けて会社での引き継ぎが落ち着いたら、二人で世界を旅行するらしい。
何はともあれ、円満な夫婦に戻って帝さんも表には出さないがきっとほっとしているに違いない。