この暴君、恋すると手に負えません
すると帝さんは両腕を広げて、優しく微笑みながらあの妖艶な瞳で私を見つめる。
「来いよ。ここなら泣いてるとこ見えないから」
--この人はどこまでもずるい。
いつだって自分が主導権を握って私は振り回されてばかりだ。だけどそんな彼に振り回される人生を自ら選んだ私に、拒否権なんてあるわけもなく。
そのまま感極まって泣いてしまった顔を隠すように、私は帝さんの胸板に顔を埋めていた。強引な言葉とは裏腹に、とても優しく私を包み込む腕にまた胸が高鳴った。