この暴君、恋すると手に負えません


「……あの、ここで一体何を?」
「いいから中に入れ、話はそれからだ」
「……はい」


帝様の言葉に逆らう事なんて出来ない私は、そのまま帝様の後に続くように部屋の中へと足を踏み入れた。


そう、この服に囲まれたクローゼットのような部屋は衣装部屋だ。


オーダー物のスーツやドレス、カジュアルな物からフォーマルな物まで、この部屋に入ればその時の気分で好きな服を着られるといっても過言ではないほど。


勿論、靴や帽子やアクセサリーという服飾雑貨も十分過ぎるほど揃っている。香水やコスメ用品が置かれたメイクルームも、フィティングルームの側に用意されており、パリコレモデルも思わず驚愕してしまうレベルだ。


--だがこの部屋に入る時は……。


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