この暴君、恋すると手に負えません


--するとその瞬間。


帝様は私を壁に追いやり、かけていた眼鏡を奪い取っては悪戯な笑みを浮かべる。


帝様から香るムスクの香りがふわりと鼻を抜けた。それほどの至近距離で見つめられると、もうどんな罰でも受ける覚悟を決めて目をきゅっと瞑った。


「とりあえず脱げ」
「……え?」
「お前に与える罰だと言っただろ?命令が聞けないのか?」
「わ、分かりました」


私は震える手で帝様が見つめている前で、ジャケットを脱ぎ、シャツのボタンに手を掛けた。

ひとつ、ふたつ……。

ゆっくりボタンを外していくと、突然帝様は可笑しそうに高笑いし始めた。


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