この暴君、恋すると手に負えません
もう二度とおばあちゃんが私の名前を呼ぶ事はないんだ。おばあちゃんが名付けてくれた虹美という名前をーー......。
哀しくて息が苦しくなるほど胸が締め付けられるのに、私は涙ひとつも流す事が出来なかった。
小さい頃、両親を亡くした私を引き取ってくれて育ててくれた大切な人。裁縫が得意で韓流ドラマが大好きで、笑うと目尻のしわがくしゃっとなって優しく笑うところも、私は大好きだった。
何より、私が社会人になってからいつも作ってくれたお弁当は格別に大好きだったそういえば今日のお弁当、私の好きなおかずばかりだったな。なのに、一口も食べれなかった。
それどころか、あの暴君によりによって一番大好きな卵焼きを奪われてしまった。