この暴君、恋すると手に負えません


不意に帝様が指を鳴らしたその瞬間、待ち構えていたかのようにメイクルームから二人の朱鳳家のメイドが現れた。


「なっ、何ですか一体!?」


私はその状況を把握する事が出来ず、声を荒げてしまった。

しかし、帝様が口角を吊り上げて意味深な笑みを浮かべているのを見ると、私の場から逃げ出そうと判断した。


だが時は既に遅く、その二人に両腕をがっちり掴まれていたのだ。


「逃がしませんよ、桐生さん?」
「私たちが素敵に仕上げてあげますからね?」


--じ、冗談じゃない。


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