この暴君、恋すると手に負えません


「この俺を誰だと思ってんだよ。いいから黙って味わってろ」

そして私は添えられた箸を持ち、おばあちゃんの卵焼きを掴んだ。綺麗にこしてから焼くおばあちゃんの卵焼きは焼き目が丁寧で、一口食べると私好みの甘い味付けが口の中でいっぱいに広がった。


「......おいしいな、やっぱり」


私は泣きながらもおばあちゃんのお弁当を食べた。当たり前のようにいつも食べていたお弁当。だけど今では世界でたったひとつのお弁当。

一口一口、いつも以上に味わいながら私はひとつも残さず綺麗に平らげたのであった。



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