この暴君、恋すると手に負えません



「桐生に用意させた参加者のデータだ。色がついた奴らは特に朱鳳財閥と深く関わる連中だ。最低限、顔と名前くらいは覚えておけ」
「は、はい......」

そうは言っても、色がついた名前はざっと確認するだけでも50名以上はいる。しかし覚えなければまた何かされてしまうと警戒し、私は食い入るように資料に目を通していた。


気づいたら私は再びあの煌びやかな豪邸へと再び足を踏み入れた。

当然玄関を開けた時に迎えたのは、あの冷たい眼差しの桐生さんだった。

「お帰りなさいませ」
「桐生、虹美の荷物を部屋まで運んでやってくれ。それと今日のパーティーにも参加させるから出席名簿に追加しといてくれ」
「......美作虹美もですか?」

すると桐生さんは私を険しい表情で睨みつける。私も負けじと睨み返していると、暴君は可笑しそうに笑った。



< 55 / 409 >

この作品をシェア

pagetop