この暴君、恋すると手に負えません
「なんだ?不服か?」
「......いえ」
「じゃ頼んだぞ」
「かしこまりました」
そして桐生さんは私のキャリーバッグを取ろうと歩み寄った。その時に小声で耳元で囁いたのだ。
「後で大事な話がある。帝様に気づかれないように執事室に来い」
何だろう。
大事な話って。
そして私のキャリーバッグを手に取り、そのまま背を向け姿を消した。私はその姿を見つめながらきょとんとした顔を浮かべていた。