この暴君、恋すると手に負えません
『執事室』
記された場所の扉を見つめながら、恐る恐るノックした。
「あの、美作虹美です」
「どうぞ」
「し、失礼します」
そして扉をゆっくりと開けると、一面は書物で埋め尽くされた棚が広がっていた。その中央のデスクに手を組んで待ち構える桐生さんの姿があった。
「大事なお話って何ですか?」
私は桐生さんのデスクに歩み寄りながら問い掛ける。そして桐生さんは引き出しから封筒を取り出し私に差し出した。
「今朝これが朱鳳家に届いた」
私はその封筒を受け取り、中に入っていた手紙を読んだ。其処には印刷された文字でこう書かれていた。