この暴君、恋すると手に負えません


ーー何でこのタイミングで!!


「虹美、どこ行ってたんだ?お前の部屋に行ったらいなかったから探したぞ」
「す、すみません。ちょっと屋敷内を探索してました。場所把握しておきたかったので......」


執事室で暴君の殺人予告状を読んでました、なんて言える訳がない。

私は咄嗟に上手く嘘をついたからか、暴君は特に怪しんでいる様子は無かった。

「そうか」
「それより何かご用ですか?」
「あぁ、これをお前に渡そうと思ってな」

すると私の目の前に最新型の携帯が差し出された。

「携帯、ですか?」
「仕事中はその携帯を使え。俺の番号はすでに登録してあるから、俺からの電話は何があっても必ず出るんだ。いいな?」


ーー嫌です。
なんて、私に答える権利はないのは分かっていた。


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