七色セツナ。1

真季乃





「おっし、これでいいんじゃね?

つか、最強じゃね?」


腕を組んだコタが、
クラス全員の名前を各種目に配置して、
うんうんと頷く。


「ん。

じゃあこれで、実行委員会に提出するよ」


ユカも頷く。


「コタ。

おつかれ」


そう声を掛けて、席を立ったのは
アシンメトリーの長めのショートカット。


サラサラの黒髪の襟足だけ赤のメッシュ。


背は160ないくらい。


右耳にはサファイアのピアス。


ライブハウスbarを経営する父親から
入学祝いにもらったと言う。


「真季乃」


阿部 真季乃(アベ マキノ)


美人だが男嫌いである。


物心ついた頃、真季乃の母親は家を出ていった。


原因は父親だった。


自分はゲイだと、カミングアウトした。


自分の父親がゲイだと知っても、
真季乃は
父親を嫌いにはならなかった。


母親がいないという事を感じさせないほど、
父親は愛を注いだ。



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