七色セツナ。1

牽制





「なんで、リレーの順番変えたの?」


「あ?」


「花凛ねーさんの次、マスダだったじゃない。

なんでアンタになったのよ?」


朱羽と真季乃の会話を
聞いている者はいない。


クラスの半分が競技に参加中。


残りは
最前列で、かたまって応援中。


結局、恭弥は
コースギリギリの所で、仁王立ち。


負のオーラと呪いのような言葉を
グラウンドに向かって唱えている。


朱羽と真季乃は、看板の前。


最後列にいる。


2人の視線は、花凛に向けられたまま。


グラウンドに、湧き上がる歓声。


お腹を抱えて笑い転げるクラスメイトたち。


朱羽と真季乃だけが
一点を見据え、沈黙を続けている。



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