七色セツナ。1
「ハアーー」
朱羽が
深いため息をついて、長い前髪をかきあげた。
「意味なんてねーよって言っても、
納得しねーんだろ?」
「当たり前じゃない。
アンタは奇数側で
ギリギリまで
ねーさんと一緒に居たのよ?
それを、わざわざ反対側まで行ってさ。
マスダだって、移動させた訳でしょ。
それから...」
「もういい」
真季乃の言葉を止めたが、
視線はグラウンドに向けたまま。
「・・・嫌だろーが」
ボソッと呟かれた声は、
真季乃しか聞こえない、微かなもの。
「は?何が?」
「アイツが
他の男に向かって
走って行くの、嫌だろーが」
真季乃が目を見開き、
朱羽の横顔を見た。
「はーー。
アンタって、結構純情だったのね?」
「うるせえ」
「ライバルが多いわー。
困った困った」