七色セツナ。1
「コタ!がんばろう!」
スタートラインに立った花凛が、
一緒に足を縛ったコタを見上げる。
「おまっ!
~~~ばっ、バカヤロ!
こっち見んな!!」
コタの
耳まで真っ赤になった顔は、
遠目からでもよくわかった。
「バカヤロって何!?
優勝して、
学食の無料券もらうんでしょーが!」
「あ?
お、おお!
そうだった!
俺には、それがあった!」
「ほら、次だよ、私たち」
コタは地面を凝視しながら、ブツブツ言い始めた。
「大丈夫だ……
これは健全なスポーツ競技だ。
決して、やましい気持ちなんかねェ。
・・・まず……
やましいって何だよ?
やましいって思うから、やましいんだろうが。
やましい気持ちに
持っていこうとするから……
やま……」