七色セツナ。1
「誰もいないよね?」
「授業まで、あと10分しかないもん。
誰もいないよ」
「で?
詳しく聞かせてよ」
どうやら女子が3人
入ってきたらしい。
給水タンクの上は
登らないと見えないので、
誰もいないと思っているんだろう。
「2組の女子の事なんだけど……」
恭弥が
閉じていた瞼を開ける。
「2組って、体育祭の時に
トイレに入って来たコ達だよね?」
「その中の
阿部真季乃って女、知ってる?」
「襟足に、赤いメッシュが入ってる子だよね?
ちょっとキツめの」
「そう。
その子と西園寺くんが
毎日一緒に帰っているって。
しかも、西園寺くんは駅利用のはずなのに、
2人で繁華街の途中で、バスを降りるんだって。」
恭弥は体制を変えずに、スマホを操作し始めた。