七色セツナ。1
「……」
弱い自分なんて、見せたくなかった。
見せるつもりなんて、なかった。
「・・・俺、ここに来て
ゴハン、ご馳走になるけど……
正直、
花凛ちゃんが作ってくれる料理って、
初めて食べるものが多いよ。
今日のこれ……
ロコ...モコ?もそうだし、
この間のドリアとか…
ブイヤベースとか……
食べたことのない
料理が出て来る……」
強い男でいなきゃ
いけないのにーー
”恭弥。
男なら泣くんじゃねェ”
オヤジにも、ジイさんにも言われ続けた言葉。
「恭弥」
「ん?」
食べ終わったボウルを
テーブルに置いて、花凛ちゃんを見る。
そのボウルを見て、
花凛ちゃんが
綺麗な笑顔を俺に向けた。
「いつも、綺麗に食べてくれて、ありがとう」