七色セツナ。1
微かに聞こえた声...
紛れもなく、あの2人の
どちらかから発せられた言葉。
美雪が真っ青になって俯く。
「ちょっ!!」
真季乃が声を出した途端
ヒュッと風が舞った。
ずっと黙って
スマホをいじっていた恭弥が、
2人のいる廊下側の窓枠を飛び越えた。
急に窓から出てきた恭弥に、
女たちは固まったまま恭弥を見た。
ジッと見下ろす恭弥を、
普段こうやって間近に見ることが
できない女達の頬が赤くなっていく。
「え……あ、あの……藤谷くん?」
「テメエら、殺す」
ドス黒いオーラを纏い、恭弥は女たちを睨んだ。
「ひっ」
「あーヤバイ。
恭弥がキレた」
コタは
ため息を吐きながらも、その顔は笑っている。