七色セツナ。1
「あれ?
朱羽って
甘いもの好きだった?」
「・・・あんま、甘くないやつ」
「んーーと。
あ、コーヒー味」
「じゃあ、それ」
飴を渡すと、朱羽は微笑んだ。
「サンキュ」
渡す時に、
微かに触れた指先に温もりが宿る。
もし、真季乃が見ていたら、
「ヤキモチ」とからかわれていただろう。
朱羽自身でさえ、
自らの行動に苦笑するのだから。
放課後になると、
コタが花凛に振り向いた。
「花凛、悪い。
俺ちょっと
ヤマちゃんに呼ばれてんだ」
「どうしたの?」
「この間の小テスト...まずかった」
「そーかあ。
分かった、待ってるよ。
がんばって」
「おお、悪いな。
じゃ、行ってくる」
コタが
教室を飛び出して行った。