七色セツナ。1
「今日はオーナーも入るが、
VIPルームに予約が
入ってるから、気を抜くなよ?」
「はい!」
そのやり取りを横目に、
花凛は厨房へ入った。
「おはようございます。
羽柴さん、仁坂さん」
「ああ、おはよう花凛ちゃん」
羽柴さんは20代後半で、
やはりグランドホテルで
3年の修行経験があり、
花凛の両親の事を知っていた。
「おー花凛。
今日出番だったか?」
仁坂さんは20歳。
中山とは
またちょっと違い、
もっと危うさが溢れ出ている。
調理担当というより、
ホストに近いと思っていたのは、
花凛だけではなく、コタもそうだった。
「真季乃のピンチヒッターです」
「ああ、お嬢ダウンしてるんだってな?
花凛も気を付けろよ?
まあ、熱出したら、
俺が看病するけどな?」