七色セツナ。1
side 朱羽
side 朱羽
花凛の左隣にいるのは、いつも俺。
定位置。
それでいい。
・・・それがいい。
今は、それでいい。
それで充分だ。
俺の気持ちを口にするのは、まだ早い。
「朱羽も、お腹減った?」
顔を見ていれば分かる。
こいつは、誰に対しても同じ態度だ。
”クラスメイト”
それ以上でも、それ以下でもない。
そして、俺の位置は
”となりの席に座っている人”
そんな感じかも知れない。
今の俺では、
こいつの気持ちを掴んでおく事ができない。
「花凛ちゃんも、南店でいいよね?」
下駄箱まで来て、恭弥が花凛に近付く。
靴を履いたのを確認すると、
さり気なく手を引いている。