七色セツナ。1




「花凛ちゃんは、
水族館にいる動物の中で、
何が1番好き?」


学食のテーブル。


花凛の正面に座った恭弥。


その横にコタ。


「う~ん。

いっぱい好きなのいるんだけど……

アザラシかなぁ」


「アザラシ?」


花凛の右隣に座る真季乃が
なぜ?という顔で聞いた。


ちなみに左隣りは
定位置の朱羽。


「あの体と手のバランス!

つぶらな瞳!

あうあう感!

もう抱きつきたいよね?」


笑顔で答えると、
それを見た男3人は、下を向いてしまった。


「ねえ、コタ。

俺って、つぶらな瞳?」


恭弥が真剣に聞くと、


「知らねーよ」


と、ため息をつく。


「じゃあ、花凛ちゃん。

アザラシを一緒に見ようね?

他のも見ようね?

て言うか、バスから一緒ね?

ずっと一緒ね?

一生、一緒……」


「「「恭弥、ウルセー」」」


朱羽、コタ、真季乃の声が重なる。


ーーーこの時は誰も、
花凛の
偽りの笑顔を見破れなかった。



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