七色セツナ。1



俺が、オマエの男なら


「何近づいてんだ」

って、文句の一つも言いたくなる。


「いいけど、
駅南だから……ちょっと遠いね。

バスで行く?」


「うん。

花凛ちゃんと俺は、バスで行こう?」


「だったら、俺たちもバスで行こうぜ」


その会話が聞こえた虎太朗が
皆に提案すると
恭弥は、冷ややかな視線を放った。


「コタ。

空気読めないね?

俺と花凛ちゃんの邪魔してさ」


「はあ?

そもそも俺だって
駅からバス通学だっての!」


「ハア……」


俺は思わず、ため息をついた。


まだ……足りない。


足りない気がするんだ。


オマエを繋ぎ留めておく、何かを手にしなきゃ。


すぐに、奪われんだろ?


「花凛ちゃん、
バスの席が空いてたら、一緒に座ろうね?」


なんで、あんな事スラスラ言えるんだよ……


恭弥は。



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