七色セツナ。1
近づくと、兄貴が家から出て来た。
「おう、朱羽。」
「買ったのか?」
ピカピカの新車を見ながら
兄貴に聞いた。
「今日、届いたばかりだ」
「ジャガーXKか……
ずいぶん奮発したな。」
「大口の契約が取れそうだからな。
思い切ってな……
いや...本音言うと、
乗せたい女がいる。」
「女?珍しいな。
兄貴が
そんな事を言うなんて。
今までだって、
女なら乗せてたじゃねーか」
「あんな見た目だけの女達が乗った車に、
そいつは
乗せたくねーんだよ」
「・・・その女は別って事か?
だから買ったのか?」
「他の女が
股開いた車なんかに乗せられるか。
別に乗せたくて、乗せた訳でもねェ。
ホテル代わりだ。
さっさと売り払った。
それより朱羽。
もうすぐ、免許取れんだろ?」
「ああ」
「俺の単車は、お前にやるよ」
「あれを?
でもあれは……」