七色セツナ。1




「仁坂さん、何て言ってました?」


「恵衣が、
自分から名前を聞いたって」


「花凛、いるんだろ?」


恵衣が、タバコを
もみ消しながら聞いた。


「マジかよ……。

高校生だぞ?」


「恵衣が、
興味を持っちゃったみたいで……」


蒼夜が苦笑いをする。


その花凛が、入って来た。


ビール以外を注文した客を
覚えているようで、次々と置いていく。


ソファに座っていた
中山に気付いた。


「ちょっと、中山さん!

何してるんですか?

何、くつろいじゃって……」


「花凛」


恵衣が遮る。


「あっ……

いらっしゃいませ」


「覚えててくれた?」


蒼夜が
ニッコリ微笑むと


「えと……

VIPルームに来ていた
お客様ですよね?」


他言無用と
言われていたことを思い出し、
他には聞こえない
小さな声で答えた。



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