七色セツナ。1




「あ、あのっ」


「いいから、花凛ちゃん。

おしぼりを取りに行こう」


蒼夜が
花凛の右手を掴み、
引きずるようにして、
パーティールームから出て行った。


静まり返った
この部屋の中、
扉の閉まる音が大きく響いた。


鋭い目の鬼が、
これから何をするのか。


それが分からないのは、
怒りの矛先の女と、
テツヤに連れられて来たナナだけ。


ここにいる
夜天使の面子は、
自分たちのトップが
怒りに満ちている事を、
充分理解していた。


突然、フロアに入って来た
花凛と蒼夜の組み合わせに
中山と仁坂は首を傾げた。


「なんだ?」


「花凛ちゃん、おしぼりね?」


蒼夜が言うと、


「はい、ちょっと待ってて下さい」


花凛が
カウンターの奥へ入って行く。


それを確認した蒼夜が、
中山と仁坂に告げた。


「”王”が暴れ出します。」



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