七色セツナ。1



中山と仁坂が
パーティールームに入ると
異様な空気感に襲われた。


「おい、テメエ……

こっち来いや」


鬼の唸る声に、
皆一応に
緊張感を漂わせている。


言われたのは、ボブの女。


全員が立ち上がっている中、
その女だけが
ソファに座ったまま、俯いている。


「連れて来い」


鬼の声で、
女の両隣にいた男たちが、
その腕を取り
ズルズルと引き摺りながら、
鬼の足元まで連れて行った。


「おい、ソファとテーブルを端に寄せろ。

備品を一つでも壊したら、
テメエら出入り禁止だ」


中山がそう言うと、
グラスに気を付けながら、
男達は指示に従う。


部屋の中央に連れて来られた女は、
床に座り込んだまま
仁王立ちしている恵衣を見上げた。


「・・・どうして?

どうしてなの?

私達、上手くいってたじゃない……」


「何が上手くいってたんだよ?」


「他の女より、長く付き合ったじゃない!

上手くいってた証拠よ!」


女を睨みつけてた恵衣が、フッと笑った。



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