七色セツナ。1



厨房から
コタが出て来た。


「なんでオマエが、洗い物してんだ?」


「今ね、仁坂さんと中山さんが
パーティールームに……」


コタが
カウンターに座る、蒼夜に気付いた。


「あ、いらっしゃいませ……

グラスが空ですね。

お飲み物は?」


「ああ、いいの。

俺、パーティールームの客だから」


「そうですか……

おい、花凛。

もう洗い物はいい。

代われ、手が荒れる……」


「……」


蒼夜が
その言葉に目を細めた。


「花凛。

グラス下げて来いよ。

いい加減、グラス足らねーぞ?」


「あ、そうだね。

行ってくる」


「ああ、大丈夫。

そろそろ、お開きだよ。

でも、そろそろ戻ろうかな?」


パーティールームに足を向けた蒼夜が
もう一度コタに目を向けたが、
コタも
蒼夜の隣りを歩く花凛も
それに気付いてはいなかった。



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