七色セツナ。1



パーティールームは、
蒼夜が言ったとおり
お開きになったようで
奥の誕生日席に
恵衣と中山、仁坂しかいなかった。


テーブル、ソファは
元に戻されており、
一番端のテーブルに
グラスが集められていた。


中山と仁坂が
素早く蒼夜と視線を交じ合わせると、
二人は、空いたグラスを持って
部屋を出て行った。


「花凛」


恵衣が
花凛を呼んだ。


「あの!

先ほどのお客様は?」


「ん?」


「先ほど、私が
水をかけてしまった女性の方です。

お召し物が濡れてしまったので
お帰りになるにも
不便じゃないかと……」


「いいんだ。

大丈夫だ。

何もない。

ちゃんと帰ったから大丈夫だ」


「そうですか……」


蒼夜は
恵衣のソファには行かずに、
大勢が座っていた
ソファの端に座り、タバコを取り出した。



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